応用言語学の分野として、第2言語習得(Second Language Acquisition: SLA)と言う分野があることは知っていましたが、あまり興味を持っていませんでした。
そんな学問、分かり切ったことしか言っていないだろう、などと勝手に思っていたからです。
ただ、もし自分がだれかに英語を教える立場になったとき、自分は英語の習得理論については全く知らないことに気づきました。自分がある程度できるからと言って、それを人に教えられるとは限らないのです。
そこで、自分も少しは第2言語習得について学んでみようと思ったのです。
ここでは私が読んで参考になった本を中心にご紹介します。
英語の学習法について、とてもバランスよくまとめられた本。著者は英語学習法について何冊も本を出している応用言語学の専門家、白井恭弘氏。
著者が主張する最良の英語学習法は、一言で言うと「大量のインプットと、少量のアウトプット」。
この学習法について、理論的なことでなく、具体的にどうしたらよいかを書いてくれている。
さらにとてもよいのは、著者が小さいころからどのように英語に興味をもって、どのようなきっかけで英語の勉強を始め、その後も勉強や研究を続けたかを書いてくれているところ。
著者は、小さいころおじいさんの影響で英語に興味を持ち、その後、競馬に強くひかれた時期もあったが、人生の節目節目で、留学も含め、英語の力を高めるよう挑戦してきたようだ。
著者と自分はそれほど年代が違わないこともあって、著者の人生について読みながら、自分の人生についても考えさせられた。自分も英語は好きだったが、著者と比べるとそれほど英語に体当たりしてきた人生ではなかった。いろんなことに右往左往しながら過ごしてきた人生だった。ただ、60を過ぎたこの年になって、自分がそれなりに学習してきた英語というものを、これからどうしようと考える。
今から自分がさらに英語を話せるようになりたいとも思うが、仕事などでそれほど英語を使うわけではない。そうすると、やはり、年齢的にも、自分が学習してきたものを何等かの形で社会に還元することが充実感につながるのではないか、と考える。
今からこの著者のようにアカデミックな立場で論文を書くなどは難しいだろう。だが、英語学習法について、もう少し学術的な部分も勉強して、この著者とは違った形で社会に還元できないか、と考ている自分を見出す。