英語の第2アクセントが生まれる仕組み

英語の単語には、通常の第1アクセント (primary stress)以外に、第2アクセントがあるのはご存じでしょうか?

今回は、どのような理由で第2アクセントがあるのかについて書きたいと思います。(この記事の内容は、The Pronunciation of Englishという本を元にしています)

規則的なリズムを作るために第2アクセントは生まれた

英語は、弱いアクセント(第1アクセントまたは第2アクセント)と強いアクセント(第3アクセントまたは無アクセント)が、できるだけ交互に現れるようなパターンを好みます。

ここで、第1アクセントは●、第2アクセントは◎、第3アクセントと無アクセント(ここでは両者を区別しません)は〇で表すことにします。

すると、例えば、下記のように、弱いアクセントが3つも連続するようなパターンは好みません。

〇〇〇●〇

これを避けるために、次のようなパターンにします。

〇◎〇●〇
con-tà-mi-ná-tion

◎〇〇●〇
sù-pra-seg-mén-tal

これによって、完全ではありませんが、弱強弱強または強弱強弱に近いパターンが生まれます。このようなアクセントのリズムを作るために、第1アクセント以外に、第2アクセントというものが生まれたのです。

なお、次のように、第1アクセントと第2アクセントが連続するようなパターンは、アクセントが衝突するので (stress clash) 、できるだけ避けられます。

◎〇◎●〇

 

第2アクセントはどこに発生するのか?

元々英語の(ゲルマン系の)単語は短い単語が多いので、上記のような問題はあまり生ぜず、次のように第2アクセントの必要がない場合が多いです。

wíndow
móther
súmmer
fréedom
kíndness

第2アクセントが発生するのは、ラテン系の単語の派生語の場合が多いです。その場合、派生語になったとき、元々第1アクセントがあった音節は第2アクセントを受けることになります。このようにして発生した第2アクセントを「派生的第2アクセント(derivational secondary stress)」と言います。

adáptable → adàptabílity
éducate → èducátiontion
impréssion → imprèssionsític

既に第2アクセントを持つ単語が派生語になった場合は、第2アクセントを受ける音節が増えることになります。

ìndivídual – ìndivìduálity
còmprehénsible – còmprehènsibílity
dìfferéntiate → dìfferèntiátion

ただし、派生語になったことによって、アクセントが連続してしまう場合(stress clash)は、2つの解決方法が見られます。

1つは、元の第1アクセントの前の音節にアクセントが移動し、第2アクセントになる方法です。これを、「弱強格的第2アクセント(iambic secondary stress)」と言います。

adápt → *adàptátionだとstress clashが起こる → àdaptátion
enígma → *enìgmáticだとstress clashが起こる → ènigmátic
Japán → *Japànéseだとstress clashが起こる → Jàpanése

 もう一つの解決法は、元の第1アクセントがなくなってしまう(第3アクセントか無アクセントになる)方法です。これを「強アクセント消去(Major Stress Deletion)」と言います。

áctive → actívity
átom → atómic
clímate → climátic

 いずれにせよ、これらの方法によって、〇◎〇●〇のように、均等なリズムが生まれることになります。

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