英語のアクセントには4段階ある

英語のアクセントは、3段階はある

英語には、通常のアクセント(英語ではstressということが多いです)に加えて、第2アクセントというものがあります。

例えば、economics(経済学)という単語の場合、発音記号で書くと、[èkənɑ́miks(米) |  ìːkənɔ́miks(英)]となります。

そして、economicsの太文字のoに第1アクセントがあり、economicsの太文字のeに第2アクセントがあり、economicsの太文字のoとiにはアクセントがありません(無アクセント)。

もし、英語のアクセントには、第1アクセント、第2アクセント、無アクセントがある、というだけなら、英語のアクセントは計3段階ある、ということになります。

ここまでは、知っている人が結構多いかもしれません。

厳密には4段階ある

ただ、私がどうも気になっていたことがあります。

通常、無アクセントの場合、非常に音が弱くなるので、ほとんどの場合、母音は弱くなります。アクセントがないのに、口を広く開けて発音する母音は発音できず、[ə u i]のいずれかの狭い母音になってしまいます。

ところが、例えば、October(10月)という単語の発音は、[ɑktóubər(米) | ɔktóubə(英)]です。この発音記号を見ると、最初のOには、第2アクセントの記号がついていないにもかかわらず、口を広く開けて発音する[ɑ(米)| ɔ(英)]が使われています。

つまり、本来、[ə u i]の狭い母音しか現れないないはずの無アクセントの音節に、それより口を大きく開けて発音する母音が現れていることになり、矛盾します。

これを説明するには、第2アクセントほど強くはないが、無アクセントほど弱くはない([ə u i]より広い母音も発音できる)、その中間のアクセントがある、ということでなければなりません。

調べたところ、確かに第3アクセント(tertiary stress)というものがあることがわかりました。(私が参照したのは、The Pronunciation of Englishという英語音声学の本です)

第1アクセント、第2アクセント、第3アクセント、無アクセントがあるということは、厳密には全部で4段階のアクセントがある、ということになります。いやはや、大変ですね(汗)。

第3アクセントには、特にアクセント記号がありません。第1アクセント記号も第2アクセント記号もついていないのに、その母音が[ə u i]のいずれでもない場合、その音節には第3アクセントがある、ということになります。

第3アクセントは完全には予測できない

そうだとすると、どのような場合に、第3アクセントがあるのでしょうか?

私が参照した上記の本によると、残念ながら明確な規則はないようです。

ただ、1つの傾向としては、閉じた音節(VC型の音節)は、第3アクセントを受けることが多いということです。例えば、OctoberやactivityのOc-やac-の部分は閉じた音節なので、完全に無アクセントにはならず、[ɑktóubər]や[æktívəti]と発音することになります。このような音節で、[əktóubər]や[əktívəti] という発音はないわけです。

それと、ある語の母音が長い母音や二重母音だった場合、その語が派生語になったとき、その母音にアクセントがなくなっても、完全に無アクセントとならず、第3アクセントを受ける場合が多いようです。

例えば、German [dʒə́ːrmən(米)| dʒə́ːmən(英)]やclimate [kláimət(米)| kláimit(英)]がそれぞれGermanic、climaticという形容詞形の派生語になった場合、 [dʒəmǽnik]、[klimǽtik]とはならず、[dʒəːrmǽnik]、[klaimǽtik]となります。元の下線部の母音が長母音だったり二重母音だったりするので、派生語になっても完全にはアクセントを失わず、第3アクセントを受けるわけですね。

とはいっても、例外も多くあります。inform [infɔ́rm(米) | infɔ́ːm(英)]がinformationになる場合、この理屈でいけば、forの部分は長母音なので、第3アクセントを受け、[ìnfɔrméiʃən]となりそうです。ところが、実際には、この部分は完全にアクセントを失い、[ìnfərméiʃən]となります。

第3アクセントも、結構、単語ごとに覚えていく必要がありそうです。

あまり気にすることはない

ただ、この第3アクセントを、日本人が英語を話す場合に気にする必要があるか?と言えば、そこまで気にする必要はないと思います。

確かに、そこまで完璧に発音すれば、ネイティブにもわかりやすく、自然に聞こえるとはおもいますが、そうしなかったからと言って、意思疎通に支障をきたすことはないと思われます。

かなり上級になって、さらに発音をよくしたくなったら気にし始めればいいと思います。

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